――無料案内がある時代に、プロの価値を言語化する
結論からいきます(ポジショントーク含む)。仲介手数料は「悪」ではない。ただし価値の説明と透明性がなければ、そう見えるのも当然だ。賃貸の仲介手数料は法で上限が決まっており(原則合計で家賃1ヶ月+税、一方あたりは0.5ヶ月+税が原則。了承があれば一方1ヶ月+税まで可)、下限はない=半額・無料も設計上あり得る。だからこそ、何に対して払うのかをクリアにしておこう。根拠:国交省/宅建業法の解説等。
まずルール(上限・分担・例外)
- 上限:賃貸の仲介手数料の合計上限は家賃1ヶ月分+消費税(=1.1ヶ月相当)。依頼者の一方から受け取る額は原則0.5ヶ月+税。ただし当人の了承があれば、一方から1ヶ月+税まで可。
- 下限:なし。ゆえに半額・無料の設計も合法。
手数料で買っている“実務価値”
- 一次情報の確認と差し替え防止:空室・条件・図面の真偽、最新キャンペーン、申込ストップの有無を貸主側に直接確認=時間と機会損失の削減。
- 交渉&段取り:入居時期・初期費用・申込~審査~契約~鍵渡しの全行程を最適化。
- “選ばない理由”の提示:眺望・騒音・離隔・電波・搬入など現地のマイナスを隠さず出す(決めるために、捨てる情報が要る)。
- 入居後の一次連絡窓口:初期不具合・鍵/設備・近隣対応の導線報告。
要は、「速く・安全に・後悔が少ない契約」にお金を払う。ここが見えないと、「クリックして内見連れてってもらうだけ」=高いに見える。
手数料が半額・無料になる時(正しく“あり得る”ケース)
- 管理直物件/自社企画物件:紹介~契約の効率が高く、借主側を無料にできることがある。
- AD(広告料)やキャンペーン:貸主からの広告料(AD)で仲介の収益が成立し、借主手数料を抑える設計。ただしADの扱いはルールあり(後述)。
- 長期空家等の特例:上限引上げは貸主側のみ=借主手数料を上げる根拠にはならない。
AD(広告料)と“バイアス”の話――ここは透明に
ADは貸主が仲介へ支払う報酬。金額上限は法の“手数料”とは別枠だが、通常の広告費を超える名目で乱用し、手数料の上限超過を覆い隠すのはNG。業界団体も明確に注意喚起している。
また、ADの有無で紹介姿勢にバイアスがかかるのは借り手にとって最悪だ。ADの多い物件をいい物件とは定義せず真にお客様にとっていい物件のご紹介。「いい物件=紹介、悪い物件=黙る」にならない仕組みにしている。
当社の開示ポリシー
- 手数料の根拠:国交省ルール準拠。借主負担は0.5ヶ月+税を上限(了承を頂く場合のみ1ヶ月+税)。図面帯や概算見積もりにて事前に説明
- 無料/半額の条件:貸主負担・管理直・キャンペーン等。案件ごと。
- 見送り提案:眺望/騒音/離隔などデメリットは先に開示。「勧めない」提案もする。
- 後工程の責任:申込〜審査〜契約〜鍵渡し〜初期不具合までの導線説明。
借り手のチェックリスト(5つ)
- ① 手数料の説明が条文ベースか?(合計上限1ヶ月+税/一方0.5ヶ月+税原則/了承時の取扱い)。
- ② 無料・半額の根拠が明記されているか?(貸主負担/管理直/CP/ADなど)。
- ④ マイナス情報を先に出すか?(音・光・動線・電波・搬入)。
- ⑤ 申込後の段取りが具体的か?(審査~鍵までの工数・必要書類・所要日数)。
FAQ
Q. 借主は必ず0.5ヶ月+税を払うの? いいえ。下限はなく、無料・半額の設計は合法。どちらか一方から1ヶ月+税まで受領できるのは当人の了承がある場合に限る。
Q. 「長期空家等」の特例で、借主の手数料も上がる? いいえ。貸主側の上限を広げる制度。借主負担の上限は従来どおり。
Q. AD(広告料)が高い物件は勧められやすい? 運用次第となります。
免責
本記事は公開情報に基づく一般的な解説であり、法的助言ではありません。制度や運用は改定されることがあります。最新の一次情報(国交省・各業界団体・契約書)をご確認ください。▲ページ上部へ